木造建築シンポジウム2019

開催趣旨

戦後日本は、木造建築にとって不遇の時代が続いてきました。高度経済成長期以降、鉄とコンクリートによる近代建築が脚光を浴び、木の建築は火事、台風等災害に弱い「危ない建物」とされてきました。1959年、日本建築学会は建築防災に関する決議の中で、「防火、耐風水害のための木造禁止」を提議しました。結果、大学専門教育のカリキュラムからは木造建築が消え、国内の木材需要は減少し、日本の林業も衰退の一途をたどってきました。

しかし、今、状況は大きく変化しています。地球環境への意識が急速に高まる中、木材は環境材料として見直されています。高強度や耐火性能を持った新木材(エンジニアリングウッド)が開発され、同時に木造に対する規制緩和も進んでいます。また、戦後に植林された人工林が伐採時期を迎え、国産木材の供給力も増加しています。

このような流れの中、今回、経済界、建築・建設業界の分野で、現在の日本を代表する企業のトップの方々にお集まりいただき、それぞれの立場で次世代の木造の可能性について語っていただく場を設けました。大量生産・大量消費社会から持続可能な社会へ、また、工業化・情報化社会から多様性の社会へという流れの中で、“木”がもつ可能性とその果す役割について改めて考えてみましょう。

ヒューリック株式会社

代表取締役会長 西浦 三郎

代表取締役社長 吉留  学