今回のヒューリック学生アイデアコンペの敷地は新宿です。
新宿の歴史は、江戸時代初期に宿場町から始まりました。甲州街道の最初の宿場町として、高井戸宿の手前に開発された「新しい宿」が新宿の名前の由来といわれています。旧甲州街道と青梅街道が江戸の入口で交わる場所が宿場町―新宿の発祥の地といわれており、現在の新宿3丁目あたりになります。今回の敷地はまさに新宿発祥の地に位置しています。
新宿駅は日本で一番人が集まる駅です。
江戸時代に宿場町として始まった新宿は、明治時代に入ると鉄道が敷かれ、山手線、中央線の開業を契機に交通の結節点として発展しました。今では、新宿駅は世界でも最大級の巨大ターミナル駅で、一日の乗降客数(359万人)は世界一としてギネスに登録されました。近年、副都心線の開通、バスタ新宿の開業、東西自由通路供用の開始など、交通結節点としての役割を躍進させながら、複数の再開発事業が計画されています。
新宿は多様なアイデンティティをもった街です。
新宿駅の西口といえば、国内最大の超高層ビル街(200m以上のビル数)であり、多くのビジネスマンが行きかいます。かたや、東口は伊勢丹、ルミネ、マルイ、ビックロといった大型商業施設が新宿通り沿いに軒を連ね、あらゆるものが揃うショッピングエリアとなっています。しかし、新宿のアイデンティティはそれだけではありません。北側には、アジア屈指の歓楽街である歌舞伎町が広がり、さらに新宿ゴールデン街や新宿2丁目といった味わい深い横丁へとつながります。新宿通りに面した今回の敷地の裏通りも、路上のオープンカフェやヒューマンスケールの商業空間が広がる新宿モア街となっています。もしかしたら、宿場町から始まった盛り場をルーツとする新宿のオーセンティシティ(本質)はこのような横丁や裏路地にあるのかもしれません。
新宿への誘い(いざない)。
今回の敷地は、新宿3丁目界隈の大型商業施設の並びに位置しています。また、敷地内には地下道の出入口があり、新宿駅にも直結しています。新宿駅へ降り立った多くの人々、ショッピングを楽しんだ様々な人々は、この場所を通って、モア街、歌舞伎町、ゴールデン街といった「新宿の横町」へと流れていきます。ここはまさに、新宿の玄関口から新宿の裏路地への入口のような場所です。この場所に、オーセンティックな新宿への入口となる施設を提案してください。新宿を訪れた人々を新宿のオーセンティシティへと「誘う(いざなう)建築」をデザインしてください。