「浅草・ヌーヴォー」をテーマに開催された第4回ヒューリック学生アイデアコンペは、2016年10月2日にヒューリック本社にて公開2次審査を実施し、プレゼンテーションと質疑応答、審査委員の議論を経て、最優秀賞1作品、優秀賞3作品、佳作6作品が決定しました。(応募総数118点)
浅草はコンペの対象地としては決して易しい場所ではありませんでした。浅草の歴史というものは下手に寄り添うとノスタルジックで退屈なものになってしまうし、逆にそれを離れてモダンなものに振りすぎると浅草とは何の縁もないものになってしまいます。今回選ばれた案は、その微妙なバランスの間をうまくかき分けてノスタルジックでありながらコンテンポラリーなものを達成していました。特に面白いと思ったのは、建築でありながらランドスケープ的である点です。浅草の面白さは、昔から庭を大事にし、外部空間を大事にしていた点です。そういう建築であり同時に外部空間のデザインでもあるという浅草の場所の特質をうまく掴まえた案に、我々は非常に新鮮な感激を受けました。 そのほかに僕が注目したのは建設しつづける浅草というアイデアです。日本建築の面白さは、コンクリートや石の建築のように完結したイメージを持つのではなく、絶えずつくり続けるイメージを持つことです。今の時代に建築をつくり続けるということは決して容易なことではありませんが、「浅草のビル」は現代においてつくり続ける建築がありえるということを説得力のあるビジュアルで示してくれました。 隈 研吾
審査員コメント
浅草はコンペの対象地としては決して易しい場所ではありませんでした。浅草の歴史というものは下手に寄り添うとノスタルジックで退屈なものになってしまうし、逆にそれを離れてモダンなものに振りすぎると浅草とは何の縁もないものになってしまいます。今回選ばれた案は、その微妙なバランスの間をうまくかき分けてノスタルジックでありながらコンテンポラリーなものを達成していました。特に面白いと思ったのは、建築でありながらランドスケープ的である点です。浅草の面白さは、昔から庭を大事にし、外部空間を大事にしていた点です。そういう建築であり同時に外部空間のデザインでもあるという浅草の場所の特質をうまく掴まえた案に、我々は非常に新鮮な感激を受けました。
そのほかに僕が注目したのは建設しつづける浅草というアイデアです。日本建築の面白さは、コンクリートや石の建築のように完結したイメージを持つのではなく、絶えずつくり続けるイメージを持つことです。今の時代に建築をつくり続けるということは決して容易なことではありませんが、「浅草のビル」は現代においてつくり続ける建築がありえるということを説得力のあるビジュアルで示してくれました。
隈 研吾