最優秀
優秀
受賞者
- 登録番号:6184
- 作品名:SPORTS COMPLEX 2020
- 氏名:土屋 秀正 / 宇田川 真 / 菊地 優介 / 佐々木 嶺 / 塚本 慎一郎 / 林 拓真
- 学校名:東京理科大学大学院
「TOKYO COMPLEX
2020」をテーマに開催されたヒューリック学生アイデアコンペは9月16日にヒューリック本社にて2次審査を実施し、プレゼンテーションと質疑応答、審査委員の議論を経て、最優秀賞1作品、優秀賞2作品、佳作7作品が決定しました。(※最終審査の結果、優秀賞の該当作品は2作品となりました。)
(応募総数182点)
審査員コメント
銀座の高速道路のすぐ脇といった種類の、現代的で複雑な敷地を、今時の学生に与えて、リアリティのある案を出せ、といってはたしてどんなものが提出されてくるのかと、実は心配であった。ところが、出てきたものはレベルが高く、ある意味で予想を裏切られた。むしろ、学生を対象としたアイデアコンペよりも、おもしろい案が多かった。日本の学生は、このようにして、拘束、制約を厳しく課して、そこから何とか解を出せとお尻を叩くやり方の方が、向いているのかもしれない。日本人のねばり強く、精密な思考方法が、このような課題の設定に適しているのである。
しかも、上位の案を見ると、リアリティだけではなくて、そこに鋭い社会的な問題意識も垣間みえて、感心させられた。最優秀案のようなオフィスがここにできあがったなら、オフィスのワーカーに快適な環境を与えるだけでなく、高速道路という都市インフラと隣接する建築物とが一体となって、ひとつの複合的な環境構造としても機能するという可能性までも示唆するような提案であった。スポーツ施設が立体的に積み重なった案も、単に、垂直的に統合されるだけでなく、スポーツ施設の前面のオープンスペースの複合が、都市の新たな公共的外部空間の可能性を示唆していて、魅力的であった。
あらためて、日本の学生の優秀さを見て安心したが、同時に建築教育とは、建築哲学という机上的概念からはいらずに、徹底して、その敷地、その地面からボトムアップ式に組み上げていった方が成果があがるかもしれない、ということを考えた。その場所からスタートする訓練をしないと、とんちんかんで、独りよがりの建築ができやすいのである。ヒューリックという、新しいタイプのディベロッパーが主催するこのコンペは、そのボトムアップ的思考法を鍛え、浸透させる場として、大きく育って欲しい。
隈 研吾