

Q1ヒューリックの事業について教えてください。
オフィスビルを中心に、2025年12月末時点で全国に賃貸用不動産を250棟保有しています。東京都心5区46%、駅から徒歩3分以内という物件が59%で、立地の良さやビルの高耐震性能から当社の空室率は1%を下回る水準です。築年数の古い不動産の開発・建替や、物件の取得・売却を通じて賃貸面積を増やし、ポートフォリオを強化してきました。人口動態や時代のニーズに合わせて、商業施設、ホテルや高級旅館、データセンター、こども教育施設、さらに、航空物流や研究施設といった次世代産業アセット等への取り組みを強化している一方で、マンションの開発や販売事業は行っていません。また、当社は将来の大規模地震・富士山噴火に備え、テナントのBCPニーズに対応すべく2029年までに高耐震建物比率100%を目指しています。さらに、環境への取り組みとして2029年までに全保有建物の使用電力100%再エネ化を目指しております。
Q22008年の上場以来、17期連続で増益増配を続けていますが、今後の成長戦略について教えてください。

当社は中長期的な利益成長を意識して経営し、2025年も過去最高益を更新しました。ただし、昨今の急速な事業環境の変化と不確実性を踏まえると、単一的な事業、従来の延長線上だけでは成長と安定はないと考えております。そこで2026年より、事業領域の拡大による利益成長を目指す中長期経営計画(2026-2036)「変革・進化・成長」を開始しました。中長期経営計画(2026-2036)では、不動産事業をベースとしながらも、多様な成長事業を取り込むことで、唯一無二の強靭な事業のポートフォリオを形成し、安定的・継続的な成長と株主価値向上を追求・実現する方針です。成長分野でM&Aを積極的に活用することでビジネスモデルを進化させ、不動産の商社化(コングロマリットプレミアムの創出)により、利益成長と企業価値の向上を実現し、「変革・進化・成長」を続ける企業グループを目指してまいります。
Q3新規事業に注力していくとのことですが、具体的にどのような事業をやっていくのでしょうか。
当社の不動産事業とシナジーが見込める事業や、人口減少下でも成長する特徴を持った事業に注力していきたいと考えております。「不動産運用」、「観光」、「こども教育」、「環境・インフラ」、「高齢者・健康」、「次世代産業アセット」、「スポーツ・エンタメ」、「企業投資・事業連携」等、多様な事業を取り込むことで利益成長を実現していきます。具体的には、今年の2月に(株)リアルゲイトと合弁会社を設立し、新規事業の一つとして築古不動産のリノベーション事業に本格参入しています。また、事業成長のドライバーとしてM&Aや企業投資を活用し、各事業の成長・拡大を加速していく方針です。2024年には(株)リソー教育と(株)レーサム、2025年にはクックデリ(株)と鉱研工業(株)を連結子会社化しています。今後も事業の特徴を持った企業に厳格な基準で投資し、連結収益の拡大につなげていきます。
Q4今後の不動産事業の方針についても教えてください。

不動産事業については、引き続き高い水準で利益を維持・増加させていく計画です。流動性が高いアセットや賃料成長が見込めるインフレ耐性アセットへ積極的に投資していくとともに、2024年に連結子会社とした(株)レーサムと連携のうえ、収益性と資金効率性の高い、高難度バリューアッド等の推進にも取り組んでいきます。
開発・建替については、建築費や人件費の上昇を踏まえ1件1件の事業性の見極めを慎重に行い、厳選して取り組む方針です。建築費の上昇分を賃料でカバーできるような、テナントの旺盛な出店意欲が続く都心プライムエリアの商業施設や、インフレ耐性のあるデータセンター等の開発については積極的に取り組む方針です。
Q5日本では金利が上昇しています。不動産市場をどう見ていますか。
インフレ基調の定着により賃料増額ペースは加速しており、また国内外の幅広い投資家の不動産投資需要等を主因に不動産価格は上昇しており、賃貸・売買市況ともに堅調であると捉えております。特に、当社の不動産ポートフォリオの7割程度が集中する東京においては、賃料上昇と空室率の低下が継続しています。また、今後の需給関係が崩れる懸念は確認されておらず、不動産価格は安定的に推移すると考えています。
Q6海外事業もやられているのでしょうか。
海外事業は2024年から試行的に開始し、累計投資額は約1,000億円になりました。人口減少の加速が見込まれる国内市場に対し海外不動産市場は成長余地が大きいことを踏まえ、中長期経営計画(2026-2036)では海外事業をさらに強化し、2036年までに投資残高を約6,000億円まで積み上げる方針です。経済成長・人口増が見込めるエリアで現地に精通した日系パートナーと実需のあるアセットに共同投資しており、1件当たりの投資額を10~70億円程度に抑えることでリスクを抑制しています。このような“ヒューリックらしい”効率的で機動的なグローバル最適投資を実現していきます。
Q7株主還元について教えてください。

当社は「成長投資→利益の安定成長→配当還元の強化」というサイクルを基本に、株主還元のさらなる充実を図っています。上場以来17期連続で増配しており、前中長期経営計画では、2019年末時点で35%であった配当性向を段階的に引き上げ、2025年末には41%まで高めました。中長期経営計画(2026–2036)においては、株主還元を一層強化するため、2029年にかけて配当性向を段階的に45%まで引き上げる計画です。今後も継続的な利益成長を通じて配当の絶対額を着実に拡大していく方針です。
Q82025年12月期の経常利益も、1,729億円(前期比185億円増)と過去最高を更新しました。今後の見通しについて教えてください。
当社は収益の指標として「経常利益」を重視しています。これは本業の収益である「営業利益」から、借入の支払利息が除かれている一方で、有価証券や固定資産の売却等の特殊要因を含んでいないからです。2025年の連結経常利益は1,729億円となり、前中長期経営計画(2020-2029)の連結経常利益目標1,800億円達成に目途が立ちました。この結果を踏まえて策定した中長期経営計画(2026-2036)では、不動産事業をベースとしながら多様な成長事業の取り込みにより連結経常利益について2026年1,850億円、2029年2,200億円、2036年3,000億円を目標として掲げ、「変革・進化・成長」を続けていく計画です。
Q9最後に、メッセージをお願いします。

インフレの定着、金利のある世界への回帰、建築コストの上昇、人口減少および労働人口の減少等、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。そのような環境下、当社は中長期経営計画(2026-2036)を策定し、2036年“連結経常利益3,000億円”の利益目標を掲げ、事業基盤の拡大と安定的な利益成長の実現を目指しています。
会社の成長段階や社会環境の変化に合わせ、半歩先を見据えながら「スピード感」を持って「変革」を行うこと。「変革とスピード」をモットーに、今後も次なる成長ステージに向け、全社一丸となって邁進していく所存です。
(2026年2月3日)

