サステナビリティに対する考え方と体制
企業理念と基本姿勢

企業行動原理
『基本姿勢』を企業という視点から理解しやすい形で具体化したものが『企業行動原理』です。企業行動原理は経営上の意思決定の拠り所になるものです。
- 企業の社会的責任の自覚
経営の自己責任にもとづく健全経営に徹し、その社会的使命を全うすることをもって、内外経済、社会の安定的な発展に寄与する。 - お客さま第一主義の実践
お客さまに誠心誠意、親切の心を持って接し、真摯な姿勢でご要望に耳を傾けるとともに、高機能、高効率そして高品質のサービスを提供する。 - 誠実・公正な行動
法令およびその精神を遵守し、社会的規範にもとることのないよう、行動は常に誠実かつ公正を旨とする。市民社会の秩序や安定に脅威を与える反社会的勢力とは断固として対決する。 - 社会への貢献と調和
当社の本来的機能の適切な発揮を通じて社会の発展向上に貢献するとともに、良き企業市民としての責務の自覚に基づき、社会とのコミュニケーションを密にして、企業行動が社会の常識と期待に沿うよう努める。 - 人間性の尊重
ゆとりと豊かさを大切にして、人間尊重の精神に溢れた、働きがいのある自由闊達な組織風土を築きあげる。
私たちの行動規範
『基本姿勢』を従業員一人ひとりの視点から理解しやすい形で具体化したものが『私たちの行動規範』です。私たちの行動規範は役員および従業員のとるべき行動の拠り所となるものです。
- 人権の尊重、差別・ハラスメントの禁止
- 法令・ルールの遵守
- 業務は誠実・公正に遂行する
- 情報の適切な管理
- インサイダー取引規制
- 反社会的勢力との関係遮断
- 環境保全への配慮
- ベストコミュニケーションの維持、活性化
- 知的財産権の尊重
- 贈賄の禁止および接待・贈答について
- 取引の透明性、合理性確保について
サステナビリティビジョン

理念体系と中長期経営計画の関係
私たちの企業理念である「安⼼と信頼に満ちた社会の実現」とは、事業活動の展開を通じて社会と共創・共⽣していくことが、当社の存在意義であることを意味しています。したがって、サステナビリティビジョンは企業理念と表裏⼀体の関係にあります。企業理念とサステナビリティビジョンに基づき、当社では経営戦略、中⻑期経営計画を策定しています。

中長期経営計画(2020~2029年)の概要
10年後の目指す姿 | ■ 「変革」と「スピード」をベースに、環境変化に柔軟に対応した進化を通じて、持続的な企業価値向上を実現する企業グループ |
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基本方針 | ■ 「成長性」「収益性」「安全性」「生産性(効率性)」を高次元でバランスしつつ、圧倒的なスピードによるダイナミックな転換を図り、更なる成長を実現する |
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基本戦略 | ![]() |
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サステナビリティに関する2020年度の取り組み実績
環境:「脱炭素社会・循環型社会」の実現に向けて
- ●カーボンニュートラルを宣言し、2050年※「CO2排出量ネットゼロ化」に向けた取り組みを開始
- ●「RE100」の2025年※達成への取り組みを推進
- ●TCFD提言へ賛同、気候変動のリスクと機会のシナリオ分析等の対応を実施
- ●長寿命化設計を標準仕様として廃棄物排出量削減を推進
- ●日本初となるサステナビリティ・リンク・ボンド(年限10年、100億円)を発行
- ※目標年限を2030年、2024年とそれぞれ前倒しして取り組みを推進中。
社会:ステークホルダーへの価値提供に向けて
- ●耐震性能・環境性能を重視した不動産事業の継続運営
- ●地域社会をはじめ各ステークホルダーとの関係強化
- ●幅広い社会貢献活動を実施(将棋女流新棋戦(ヒューリック杯白玲戦・女流順位戦)の立ち上げ、パラバドミントン支援、ひとり親世帯への支援、近隣小学校への図書の寄贈等)
コーポレート・ガバナンス:バランス経営の推進
- ●当社の「コーポレートガバナンス・ガイドライン」に基づく健全な企業統治
- ●非財務KPIの追加設定(取締役会の実効性評価)
イニシアティブへの取り組み
当社はサステナビリティに関する国内外の情勢や、不動産会社としての当社の存在意義を踏まえ、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを着実に推進するため、国内外のさまざまなイニシアティブに参加しています。
持続可能な開発目標(SDGs)
2015年9月、国連サミットにて2030年までの「持続可能な開発⽬標(以下、SDGs※)」が全会一致で採択されました。SDGs は、持続可能なエネルギー、強靭なインフラ構築、気候変動対策、質の高い教育など、17の目標から構成されています。
当社は企業活動を通じて社会課題に取り組み、その解決を推進しています。具体的には、当社と当社のステークホルダーにとっての重要性の高い課題を重要課題(マテリアリティ)として抽出し、関連する機会とリスクに対応する取り組みを実施しています。
- ※ SDGs︓Sustainable Development Goalsの略

パリ協定とSBT
2015年の第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定に整合したCO2排出量の削減を目指し、2030年までに当社が保有する全賃貸物件※が使用する電力を、FIT制度※を利用しない自社保有の太陽光発電設備で発電した電気で100%賄うことで、電気由来のCO2排出量ネットゼロを達成することを目指します。また、パリ協定に即してCO2排出量を着実に削減していくため、温室効果ガス削減目標をSBTイニシアティブベースで設定しました※。

- ※当社がエネルギー管理権限を有さない一棟貸、住宅系、非幹事共有物件と販売用不動産を除きます。
- ※再生可能エネルギーにより発電された電気の固定価格買取制度。この制度では電気事業者の買い取る電気費用の一部が電気使用者の料⾦に上乗せされて国⺠の実質負担になるため、FIT 電気の使用はRE100達成とはみなされません。
- ※SBT(Science Based Targets)イニシアティブは、パリ協定と整合(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑制)する温室効果ガス排出量削減目標の設定を私企業に対して推進する国際イニシアティブで、パリ協定と整合する目標設定を行った企業を認定しています。国際的デファクトスタンダードである温室効果ガス排出量算定・報告基準(GHGプロトコル)に即して排出段階毎に温室効果ガス排出量を算定した上で、中期的(目標提出日から5~15年後)な削減目標を設定します。なお、当社は、SBTイニシアティブにSBT認定を申請中です。
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
当社は、気候関連財務情報開⽰の重要性を認識し2020年にTCFD※提言に賛同し、TCFDが推奨する開示事項について検討と対応を実施の上、提言に即した情報開示をおこなっています。
ステークホルダーのみなさまに対して「持続可能な社会」の実現へ向けた当社の取り組みをよりわかりやすくお伝えするとともに、更なる情報開⽰の充実に取り組んでいきます。

- ※ TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures︓気候関連財務情報開⽰タスクフォース)は、主要国の中央銀⾏や⾦融規制当局等が参加する国際機関である⾦融安定理事会によって設⽴されたタスクフォースで、投資家に向けた気候関連の情報の開示フレームワークを提言しています。
RE100
事業運営に要する電⼒を100%再生可能エネルギーでカバーする目標を掲げる企業連合であるRE100に、2019年に加盟しました。FIT 制度※を利⽤しない自社保有の太陽光発電設備を開発し、2024年までに当社グループの使⽤電⼒の100%を再生可能エネルギー(RE100)でまかなうことを目指しています。

- ※ FIT 制度︓再生可能エネルギーにより発電された電気の固定価格買取制度。この制度では電気事業者の買い取る電気費用の一部が電気使用者の料⾦に上乗せされて国⺠の実質負担になるため、FIT 電気の使用はRE100達成とはみなされません。
チャレンジ・ゼロ
経団連が主導するチャレンジ・ゼロ(チェレンジネット・ゼロカーボンイノベーション)は、脱炭素社会への挑戦を重要な経営課題と位置づけ、革新的な技術を早期に開発し、社会実装することを目指す企業が参画して、パリ協定が掲げる温室効果ガス排出ネット・ゼロの早期実現を目指す取り組みです。当社は商業施設やホテル等から廃棄される⾷品系廃棄物を利⽤した発電・熱供給システムを開発し、実装による廃棄物のエネルギー転換、ゼロエミッション、施設運営の省⼒化と、木質バイオマス活⽤による林業活性化のモデル構築にチャレンジしています。

経団連生物多様性宣言イニシアチブ
生物多様性の保全は、気候変動への取り組み、循環型社会の実現と並ぶ、当社にとっての環境課題のマテリアリティの主柱です。
国連の「生物多様性の10年」が2020年に終了するにあたり、この取り組みを日本の経済界で継続していくことを主目的に経団連が中心となって2020年6月に提言した「経団連生物多様性宣言(改定版)」に賛同し、経団連が主導する「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」の取り組みに参画しています。国際社会の一員として多様なステークホルダーとの連携・協力により社会課題の解決を実現していきます。
経団連1%クラブ
経団連が取り組んでいる1%クラブの趣旨に賛同し、経常利益の1%以上を社会貢献活動に支出することに努めています。
統合報告書とサステナビリティブックの作成
当社は2020年より統合報告書を発行しています。
当社の強みをお客さまや社会、そして当社に対する価値創造にどのようにつなげていくのかの説明にくわえ、財務情報と当社の成長を支えるサステナビリティの取り組みを、ステークホルダーのみなさまに分かりやすく編集し、新たな対話の機会を創出することを目的としています。発行にあたっては、取締役会のレビューを受けています。
また、2008年から発行してきたCSRレポートを終了し、安心と信頼に満ちた社会の実現と永続的な企業価値の向上を志向する当社のサステナビリティに関する取り組みを、新たに「サステナビリティブック」としてまとめ、ウェブサイトに掲載しています。
サステナビリティ推進体制
サステナビリティ委員会の設置
当社はサステナビリティビジョンの制定に伴い、「CSR委員会」をCSRにとどまらず、ESG/SDGsを始めとしたサステナビリティに関する内外の情勢を踏まえて、長期的な競争力強化とリスク対応に関する経営の重要事項について審議・調整する「サステナビリティ委員会」に変更しました。中長期的な取り組みには経営層の関与が不可欠であるため、サステナビリティ委員会は社長を委員長とし、副社長、専務執行役員、経営企画部長、不動産統括部長、グループ会社役員で構成しています。
さらに、TCFD提言を踏まえ、気候変動に関する事項をサステナビリティ委員会で審議・調整するガバナンス体制を構築しました。気候変動が事業に与える影響について少なくとも年1回以上評価を行い、特定したリスクの最小化と機会の獲得に向けた方針・戦略の策定、計画・予算・目標等への反映など、適応していくための審議を行います。また、気候変動を含むサステナビリティに関するKPI(非財務目標)を設定し、実績をレビューするなど進捗状況を評価しています。同委員会は気候変動について審議した事項を少なくとも年1回以上取締役会に報告し、取締役会の監督を受けています。
サステナビリティ推進体制図

サステナビリティサポーターの活動
サステナビリティサポーターはヒューリックグループ各社から合計20名前後が選出され、1年の任期の間、当社が行う夏祭りの主催、里山保全活動の実施、使用済切手の選別などの社会貢献活動において中核的な役割を担っています。さらに、サステナビリティ室が牽引するサステナビリティに関する当社の取り組みを支援し、グループ全体へのサステナビリティビジョンの浸透・定着をサポートします。
サポーター会議では、サステナビリティに関する取り組みや活動方針の策定に資する意見交換や提案等が活発に行われています。