再生可能エネルギーの有効活用

当社では温室効果ガス排出量削減の代替主電源として、再生可能エネルギー発電設備の自社開発・保有による活用を進めています。
また、建物への各種再生可能エネルギー利用システムの導入を進めており、開発・建替物件への導入3件以上/年を非財務KPIに掲げています。2024年度の実績は5件でした。

全保有建物の使用電力を100%再生可能エネルギー化

当社は「環境長期ビジョン」に則り、気候変動に関する取り組みとして、2024年までのRE100*1達成と2030年全保有建物*2の使用電力の100%再生可能エネルギー化(以下、本取り組み)を目標に掲げていましたが、RE100につきましては2023年に達成しました。また、全保有建物の使用電力の100%再エネ化目標を2029年に1年前倒ししました。このために、2029年までに総額約660億円を投資し、太陽光発電設備等の再エネ発電設備を新規に開発する計画です。さらに、2034年までに系統用蓄電池へ約1,000億円の投資を行い、再エネ電力供給の安定化を目指します。

取り組みの進捗状況(2024年12月末時点)

  • 2029年全保有建物100%再生可能エネルギー化目標に対する進捗率*3 :58%
  • 開発の進捗状況:太陽光発電設備 81箇所、104.5Gwh/小水力発電設備3箇所、2.5Gwh
  • *1「Renewable Electricity 100%」の略で、事業活動に必要な電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指します。
  • *2当社がエネルギー管理権原を有さない一棟貸、住宅系、非幹事共有物件と販売用不動産等を除きます。
  • *32024年対象物件の電気使用量に対する再生可能エネルギー化の比率です。
  • 非FIT太陽光発電設備
    非FIT太陽光発電設備
  • 系統用蓄電池(イメージ)
    系統用蓄電池(イメージ)

自社グループ完結型コーポレートPPAモデル

当社グループのヒューリックプロパティソリューション(株)が小売電気事業者(PPS)となり、当社から再エネ由来の電気を買い取り、当社保有の建物に売電する仕組み(コーポレートPPA)を構築しています。これにより、長期的に安定して再エネ由来の電力の確保が可能となります。

小水力発電設備

太陽光発電は夜間に発電せず、天候で発電量が変動するため、昼夜・天候・季節を問わず安定的に電力を供給できる小水力発電を長期的なエネルギーの「強靭化」(多種のエネルギー電源を活用することで電力を安定的に供給)の観点から開発・保有して利用していきます。

複数の電源を確保することでエネルギーが安定供給される仕組み(イメージ図)

2021年5月に当社の第1号となる発電所が群馬県利根郡川場村に完成し、発電を開始しました。本発電所は立地条件等を勘案して「自動化」「電動化」「遠隔化」の技術を導入しました。これにより、従来の小水力発電より高稼働が期待できる最新型の発電所となりました。更に第2号として、2023年5月には滋賀県高島市にて発電を開始しています。

当社では、エネルギーミックスの観点から、今後も小水力発電設備を開発して利用する計画です。

  • 出力が1,000kW以下の小規模な水力発電。昼夜を問わず安定的に発電するため、再エネ設備の中でも比較的高稼働な安定電源とされています。
滋賀県鴨川小水力発電所の取水口

滋賀県鴨川小水力発電の概要

  • 水源:滋賀県高島市鴨川
  • 全長:1.4km
  • 落差:91m
  • 発電規模:199kW
  • 想定年間発電量:1.1GWh
  • FIT終了後(20年後)に当社保有建物に電気供給する計画

小水力発電所の構造(イメージ図)

蓄電池への投資

蓄電池の運用イメージ

再生可能エネルギーの導入拡大が進む一方で、不安定電源である太陽光発電由来の再エネ比率が高いことから、変動する電力需給に対応する「調整力」の確保が必要となります。蓄電池の導入により再生可能エネルギーの余剰電力の充電、需給ひっ迫時の放電等の調整をすることで、需要と供給のバランスをとって、電力を安定的に供給します。

オンサイト自家消費型太陽光発電設備の設置

ヒューリックロジスティクス柏

建物の屋上に太陽光発電パネルを設置し、建物の補助電源として太陽光を活用することで温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます。物流施設「ヒューリックロジスティクス」シリーズでは、多くの物件で大容量の太陽光発電設備を実装し、ZEB認証を取得しています。

太陽熱集熱パネルの設置

屋上の太陽熱集熱パネル
(ヒューリックスクエア東京)

ホテルや集合住宅等、給湯を多く使う建物では、太陽熱集熱パネルを利用した太陽熱給湯システムを採用しています。この給湯システムでつくられたお湯は、共同住宅、寄宿舎、厨房等に給湯しています。
ヒューリックスクエア東京では、ザ・ゲートホテル東京の給湯の補助熱源として太陽熱集熱パネルを屋上に設置し、温室効果ガス排出量の削減に貢献しています。

壁面への太陽光発電パネルの設置

ヒューリックスクエア札幌(Ⅰ期)

ヒューリックスクエア札幌(Ⅰ期)では、雪の影響を受けにくい垂直面に太陽光パネルを設置し、高度の低い太陽光や雪の照り返しによる創エネを図っています。12.6kWのシステムを採用し、年間約5,400kWhの発電を想定しています。

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