グループでの取り組み
基本的な考え方
循環型社会の実現に向け、当社グループではお客さまやビル管理会社と協力し、廃棄物や取水量(水使用量)の削減に積極的に取り組んでいます。建物の開発・建替の際には、廃棄物を大幅に削減できる長寿命化建物設計の採用などを行い、ライフサイクルを通じて「リデュース・リユース・リサイクル」の3Rを推進し、資源を有効活用することで環境負荷の低減に努めています。
保有建物及び建替における省資源と廃棄物の削減
お客さまやビル管理会社と協力し、廃棄物排出量削減・取水量(水使用量)削減に取り組んでいます。
雨水を利用したトイレや各種節水システムを導入しており、既存の保有建物においても順次節水型の洗浄便器、手洗い器を標準化しています。
当社グループの廃棄物排出量
当社グループ会社の本社が入居している自社所有建物(含むホテル)では、循環型社会の実現に向けて廃棄物排出量削減の地道な努力を進めています。
- *「」を付した指標は、統合報告書に記載されている値に対して独立した第三者機関による保証を受けています。
- * ヒューリック本社ビル及びグループ会社の本社が入居しているビルを対象としています。2020年度より一部の対象物件において実測した重量換算係数を使用して廃棄物排出量を算定しています。2018年から集計対象となった「ポルテ金沢」が大規模ビルのため、2018年に実績が大きくなりました。
3Rの推進
リデュースの取り組み
本社ビルにおけるプラスチックごみの削減
当社は、使い捨てプラスチックごみによる海洋汚染の深刻化を考慮し、本社ビル内の売店では使い捨てプラスチック製の飲料容器、ストロー、スプーン、レジ袋等の配布をとりやめ、紙製品への切り替え、従業員へのマイカップ利用の積極的な呼びかけを実施しています。
リユースの取り組み
建替における地下部分躯体の一部再利用
建替工事では、解体に伴って発生するコンクリートガラなどの廃棄物を削減するため、極力既存建物の地下部分の躯体を新築建物の山留め壁として再利用し、その内側に新たな地下躯体を設けるなどの工夫を行っています。もちろん、既存建物の躯体を再利用する場合には十分な検査を行い、強度を確認します。
周辺への影響をふまえて物件ごとに検討した結果、PC工法(後述)を以下の案件で導入しました。
再利用実績
- ●ヒューリック銀座数寄屋橋ビル
- ●ヒューリック本社ビル
- ●御茶ノ水ソラシティ
- ●ヒューリック新宿ビル
リサイクルの取り組み
日常のオフィス業務を通じたリサイクルへの取り組みとして、使用済み用紙、使用済みプリンタートナーのリサイクルを行っています。今後もこの活動に取り組み、循環型社会の実現に貢献していきます。
紙のリサイクル量*
(単位:kg)
年度 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|---|
リサイクル量 | 11,365 | 13,125 | 14,540 | 15,600 | 13,880 | 13,000 |
* 対象範囲はヒューリック本社ビルです。
ペットボトルの「ボトルtoボトル」水平リサイクルの取り組み
(ヒューリックホテルマネジメント株式会社×サントリーグループ)
当社グループホテルのザ・ゲートホテル京都、ザ・ゲートホテル両国にて回収した使用済みペットボトルは、新たなペットボトルに生まれ変わり、サントリーの飲料用として使用されています。(「ボトルtoボトル」水平リサイクル)
この取り組みを通して、循環型社会の実現に貢献していきます。
汚染の防止
当社は、事業による環境汚染を最小化することが循環型社会の実現に不可欠と考えており、建物の企画・開発を進める際には、設計会社・施工会社の協力のもと汚染物質の排出を可能な限り低減する施工方法の採用に取り組んでいます。
また、開発事業において発生したSOx・NOx・VOCといった有害廃棄物のデータを集計し、その発生量を把握して実績値を開示しています。
有害廃棄物のSOx・NOx・VOCの排出量
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
集計対象物件数 | 10件 | 4件 | 7件 | 9件 | 6件 |
SOx排出量(kg) | 1,620 | 60 | 142 | 826 | 770 |
NOx排出量(kg) | 11,527 | 1,334 | 1,649 | 6,778 | 5,132 |
VOC排出量(kg) | 157 | 124 | 0 | 0 | 0 |
* 集計対象物件は、各年に竣工した当社の開発・建替物件で、データの収集を行っていた物件
水に対する取り組み
取水量(水使用量)削減への取り組み
●KPI 取水量(水使用量)節水器具の設置率 各年100%(対象範囲:各年で竣工した固定資産)/ 2023年実績 100%
当社の取水量(水使用量)のほぼ全量は当社グループの事業所が入る建物及び保有建物における使用であり、それらは水道水から取水し、下水道に排出しています。水資源保全の観点から保有建物における取水量(水使用量)を削減するために、既存の保有建物の水回りに設置されている蛇口に節水コマ(蛇口あたり約4割の節水が可能)を取り付ける取り組みを行っています。
その他、全保有物件で水使用量削減を目指すべく、全ての新築物件での節水器具の設置や既存の保有建物のトイレを順次リニューアルし、快適な水回り空間を提供するとともに節水型の洗浄便器・手洗い器に更新しています。また、一部の物件ではトイレの洗浄水や緑化部分の散水に雨水を利用することで、水資源の有効活用に努めています。なお、当社は水ストレスの高い地域での事業を行っていません。
- *「」を付した指標は、統合報告書に記載されている値に対して独立した第三者機関による保証を受けています。
- * 2021年度より、ヒューリックが保有する固定資産のうち、開発中の物件や貸地等を除く物件を対象としています(2021年度:220物件、2022年度:207物件)。なお、温泉旅館の温泉取水量は含まれておりません。
紙代替素材の利用
当社は、2022年より統合報告書、株主通信や名刺の作成に石灰石を主原料とする紙代替素材LIMEX(ライメックス)(以下、LIMEX)の使用を開始しています。森林資源・水資源をほぼ使用しないLIMEX素材を使用することにより、製造過程の水使用量は同量の紙を使用する場合と比べて約53万L(500mlペットボトル換算で約107万本相当)の削減となりました。また、紙代替として使用した統合報告書などのLIMEX製品は、回収して再資源化し、プラスチック代替製品へとリサイクルが可能であることから、高効率な資源循環の実現を目指すことができます。今後も、当社の刊行物を中心に、LIMEXへの切替の可能性を検討していきます。
施工
PC工法の採用
事業主の立場から、建築時に廃棄物を大幅に削減できるPC工法*を採用しています。この工法は工期の短縮だけでなく、工事中の周辺環境への影響を最小限に抑え、長寿命化の観点からも評価されています。
- * PC工法(プレキャスト・コンクリート)工法:工場で一貫した品質管理のもとに製造された壁式プレキャストパネルを工事現場に搬入して組み立てる工法
PC工法の効果
ハイブリッド耐火木造建築*の施工上のメリット
(環境負荷の軽減)
- ●部材の軽量化
- 運搬と工事施工における車両・重機の合理化
- 輸送による温室効果ガス排出量の削減 - ●工場製作により現地での作業量低減、現場廃材のゼロ化
- ●床CLTの採用により、仮型枠材が不要化
(施工上のメリット)
- ●精度の高いプレカット加工(機械加工)による、円滑な組み立て工事
- ●ビス、ネジ等で他の建材を固定する際の、簡便性
- ●構造体が仕上材となることから、内装仕上費用が低減
- * 木造と鉄骨造を組み合わせたハイブリッド構造